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卒業制作のテーマと今後の予定


【卒業制作のテーマ】
「音と言葉からの視点による日本の民俗性の探求、またそれらのデザインによる再編」

◉卒業制作の進行方法、予定
1.文献による資料調査、テーマの深化
(4〜7月)
2.現地調査(リサーチ)(8月〜11月)
3.制作(9月〜1月)

【卒業制作のテーマ設定とこれまでの経緯】

◉日本の民俗性への興味
この度の卒業制作のテーマ設定の発端は私が大学1年次に文化科目Ⅰ類「民俗学」の講義を受講しその内容に感銘を受け民俗学に興味を持ったことによります。「民俗」とは「民族」とは隔てられ「民俗学」とは自国、またはある国の文化、民俗性についてを扱い、代々受け継がれている風習や文化などと現在の文化を比較検討する学問領域の事を言います(民族については文化人類学が取り扱う分野)。
私は今回日本人がどのような風習を受け継ぎ日本人と言うアイデンティティ、即ち民俗性を確立したのか、これまで学んだデザインの知見を活かし卒業制作を機に自分なりに調査、表現したいと考えました。
また、元々古都京都で育ち、幼い頃から神社仏閣や風習に慣れ親しんでいたことも少なからず影響を与えていると思われます。

◉海外からの日本の印象と口承文芸についての調査
民俗学とはつまりは「日本のこと」についてを取り扱う為、その領域は大変幅広くその全てについてを扱うことは非常に困難です。
そこで卒業制作のおおまかな方向性を決めた後さらに以下のことについて調査の的を絞りました。

1.日本人の言葉と音
2.海外から見た日本とは
3.日本独自の芸術性

1.「日本人の言葉と音」について
日本語とは日本人だけが扱う言語であり私はそこに日本人の民俗性を見出したいとまず最初に考えました。日本語は文字文化ではひらがな、カタカナ、漢字を有し、その用法も多岐に渡るばかりではなく地域による方言文化まで有する非常に複雑な言語です。
これについても言わずもがな領域が幅広いため私は今回、地域の伝承や民謡などそれを総称する「口承文芸」について調査することにしました。
口承文芸」とは文字に残さず口伝えのみで受け継がれてきたとされる文学領域のことでで、昔話、伝承、伝説、ことわざ、民謡などが含まれます。日本に関わらず人類の歴史上文字を扱わない期間の方が圧倒的に長く、元来人々は口伝えにより文化や風習を受け継いでおり、そこに表出するものこそ、その地域文化独自のものであると言えるのではないかと考えました。
前期の大半はこの口承文芸、特に昔話や民謡について文献による調査を行ないました。詳しい内容についてはここでは割愛。

2.「海外から見た日本とは」について
テーマを決めた後、現在体調不良で休職している私の元々のゼミの担当教授である白井敬尚先生に相談したところ海外からの視点を交えてみるべきだとのアドバイスをして頂き、その時ラフカディオハーン=小泉八雲という人物について教えて頂きました。
小泉八雲ギリシャに生まれ、日本人に帰化した民俗学者です。日本に強い関心を持ち来日した後、教鞭などをとりながら当時の日本の民俗性について独自の視点から様々な文献を残しており、日本文化を紹介する民俗学者の雄とされています。彼についての幾つかの書籍を読み、鎖国の解禁から間も無い日本の印象や文化について様々なことを学ぶことができました。偏った視点が多々見受けられましたがおおまかには彼は開国以前の日本に強い美徳を感じており、異国文化が流入した後の日本に嫌悪感を抱いていたこと、転勤を繰り返した結果、地域によっての人間性の差に強く困惑し日本というものの印象が時に相反するものになったことなどが印象深い内容でした。当時から日本には地域差が激しくそこには独自の文化体系があったようです。

3.「日本の芸術性」について
日本独自の芸術文化といって思い当たるものといえば歌舞伎や能などのいわゆる「有形文化」の領域のものではないでしょうか。これらのものには確かに視覚的要素、身体的要素、言語的要素など主要な要素がほぼ全て含まれており題材としては申し分ないが、今回私はあえてこれを避けたいと思います。なぜならこれらのものは既にデザイン的な洗練が既にほぼ完璧に為されておりいわば「確立された芸術」であると考えるからです。それは歌舞伎が現在までおよそ400年もの間ほぼ形を変えず親しまれていることからも頷けるのではないでしょうか。また実際に既にデザイン研究も多くされています。
今回私は日本の芸術性を前述の口承文芸つまりは言語継承、心意表現の視点から探求したいと思います。音と言葉で受け継がれる形こそに日本の民俗性をデザインにより編集、設計、再構築する価値、可能性があると考えるからです。
作品としての有名な例を出せば水木しげるの「ゲゲゲの鬼太郎」は遠野の伝承や地域に伝わる妖怪伝説を漫画作品として、またジブリの「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」「かぐや姫」などは日本独自の文化を極めて的確にアニメーションとして視覚表現したことで海外からも高く評価されていることは自明のことと思われます。
これらは漫画やアニメのカルチャーですが、私はこれらのような老若男女誰もが親しめる優れた伝達表現を今回の卒業制作で充分配慮、模索し卒業後の制作活動の中で活かせるものにしたいと考えています。

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この三つの視点を踏まえ今後の計画を建て的確なアウトプットの決定のため次のリサーチの段階に入ります。

【リサーチについて】

◉祭り、年中行事への参加
上記の三つの視点を踏まえてリサーチの段階ではやはり「現地で実際に体感すること」が最も相応しい手段であると考えました。書籍で知識については学ぶことができても感覚として捉えなければ意味がなく、五感での体感こそが創造力を躍動させ、適切な表現へと導く一番の手段なのです。
しかし地域に出向き資料館などを訪ねるだけでは意味がありません。そこで私は体感することの最良の手段として「地域の祭り、年中行事に参加すること」に思い至りました。祭り、年中行事にはその地域の言葉が行き交い、歌や踊りからなる風習、儀式があり、まさしく地域性を正面から体感できるものなのです。

◉リサーチ方法
現地に赴き祭、年中行事に参加する上で以下について主にリサーチを行います。

1.各行事の観光資源性
2.各行事の地域性
3.行事としての厳格さ
4.各行事の歌や踊りの差違
5.各行事の親和性
など(項目を増やす可能性あり)

以上のことを現地での体験、インタビュー、資料調査を通して記録作業を行い、後日マッピングなどによる総編集を行い、アウトプット表現を決定します。

◉取材予定地
現在予定している取材地域は以下(状況に応じて変更あり)。

8月18日 西馬音内盆踊り(秋田県)
8月19日 花輪ばやし(秋田県)
8月20日 遠野の現地調査(岩手県)
8月25日 滝宮の念仏踊り(香川県)
8月26日 沖縄全島エイサーまつり(沖縄)
9月1日 大原の八朔踊(京都)
9月16日 遠野まつり(岩手県)
10月7〜9日 長崎くんち(長崎県)
11月 アイヌの祭「コタンノミ」(北海道)

※これらの祭りは歴史、地域性、民謡などの有無により選出。

9月中にアウトプット決定、制作開始予定しています。

各祭りの記録は順次このブログに掲載予定です。