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8月25日(木)③滝宮の念仏踊り(香川県滝宮)

滝宮の念仏踊りは五穀豊穣と雨乞いを願う香川県滝宮に千年以上続く神事です。仁和四年(888年頃)大早の節、その年は雨が降らず大飢饉となり麦も枯れ、田植えもできない有様で国民の苦しみは筆舌に尽くしがたいものであったそうです。民を救うため、国司であった菅原道真は自らの身命を賭けて城山に登り断食を七日七晩して祈雨の願文を奏して祈り給いました。すると祈りが天に通じて待望の雨が三日三晩降り続いたそうです。雨に喜ぶ国民は歓喜の余り踊り舞い感謝しました。 その後、法然上人により振り付けを新しくして現在の形になったとのことです。

念仏踊りとは現在でも全国で広く親しまれている盆踊りの原型となった踊りであり、特にこの滝宮の念仏踊りは全国に点在している念仏踊りのルーツとされているものであるということで一目見てみたいと思い、今回訪れるに至りました。

 

朝一で東京を出発し新幹線と電車を乗り継いで、ことでん滝宮駅に着いたのは昼過ぎ頃でした。あいにく、というかこの行事の目的を辿ればありがたいことなのですが、当日はスコールのような雨が降り続いており重い荷物を引きずりながらの移動はかなり難儀しました。雨天でしたが、道中の家家の軒先にはすでに紙垂(しで)が下がっており今日念仏踊りが執り行われることがわかりました。

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奉納が行われる滝宮神社に着いたのは開始時刻ギリギリの13時過ぎ頃でしたが本殿の前に人はまばらで様子が少しおかしかったです。本来であれば滝宮神社の境内で念仏踊りが踊られ、その周りを多くの見物人が取り囲んでるはずなのですがやはり雨天のせいかそのような光景はありませんでした。一応テレビリポーターも来ていましたが、しきりに「雨乞いの行事で雨が降っております」といったリポートを繰り返しているばかりで踊りは一向に始まる気配はありません。本殿の中では何やら執り行われているようでしばらく様子を見ていましたが、どうやら別の場所で踊りは行われているようで私は神社を後にしました。

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町のホームページの事前情報では雨天時は少し離れた場所にある小学校の体育館内で行われるとあったので急いで向かいましたがそのような様子はなくしばらく途方にくれましたが、よくよく調べたところどうやら反対の方角に位置する公民館内で行なわれているとのことでした。この時点で開始時間を大幅に過ぎており、雨にも打たれ正直かなりうんざりしていたのですがこの踊りを見にわざわざ来たので重い腰を上げて急いで向かいました。

公民館に近づくと鳴り物や太鼓の音が聞こえてきたのでホッとしました。入り口にも案内板があり今回は本当だということで中に入り会場となっている部屋に向かいました。

中では粛々と踊りが踊られており、見物人やテレビクルーがたくさんいました。

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踊りは主に三人の踊り手と手持ち太鼓、鳴り物、法螺貝の伴奏で構成されおり、独特の合いの手が印象的で私は念仏踊り自体を初めて見ましたが確かに日本の踊りの原型のような雰囲気を感じました。踊りは滝宮の市民による「北村組」「小野組」「羽床下組」の3組が交代で踊るようです。

私が来てから1時間ほどで踊りは終了し、帰りがけに家族連れで見に来ていた60代くらいの女性の方にいくつか話を伺ったところ、その方は元は滝宮の住人ではなく住んで20年ほどになり、住み始めた当初よりこの念仏踊りを見に来ているとのことでした。毎年見にくる理由としては自らもそうだが息子や孫など後世にも日本の伝統文化を知って見て欲しいということで家族で毎年見にくるのだそうです。ちなみにこの方言わく、知る限り実際に雨が降ったのはこの年が初めてだそうで、運がいいのか悪いのか複雑な気持ちになりました...。

その後参加者に話を伺おうと声をかけましたが、別の場所で内々で執り行われる行事があるとのことで皆さん急ぎ足で散り散りに帰って行ってしまいました。外に出た頃にはすっかり雨は上がっていました。

 

その後滝宮神社に戻り関係者の方にいくつか話を伺い、踊りの参加者は市民に限ること、例年見物人が減りつつあること、民俗文化財に指定されているからにはもっと盛り上げたいと思っていることなど貴重なお話をいくつか聞くことができました。やはり同じ民俗文化財指定行事にの中にもかなり差があるのだということをその語りぶりから強く感じることができました。

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祭りに関するリサーチを一通り終えた後は滝宮の町を見て回った後、高松に行きせっかくなので美味しいうどんを食べて帰りました。香川県を訪れたのはこれが初めてでしたが踊りの雰囲気や話した人、電車に乗って眺めた町並みなどから素朴で落ち着いた、イサムノグチがアトリエを構えたのも頷ける(余談)とても雰囲気の良い場所だと感じました。次はただの息抜きにでも訪れたいです。

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